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「【高校等教員向け】探究型海外研修企画のためのハワイ視察プロジェクト」12 月視察と事後ワークショップ報告

「トビタテ!留学 JAPAN」とハワイ州観光局との共催事業である「【高校等教員向け】探究型海外研修企画のためのハワイ視察プロジェクト」の12月視察者9名が、2024年12月14~18日(3泊5日)でハワイ州への視察を行いました。

「時代に合った学習効果の高い探究型海外研修を教師が自らプロデュースする」ことをテーマとした当プロジェクトの公開ページはこちらをご覧ください。
https://tobitate-gov.note.jp/n/n5739769b56b5

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12月のハワイ視察

寒さが一段と身に染みる12月中旬の夕方。今回視察される9名の先生方は、羽田空港と関西国際空港の2か所に分かれて集合しました。羽田からは、5名の先生にトビタテ事務局から大熊が同行し、ハワイ州観光局の職員2名も合流されました。オンライン開催の「事前ワークショップ」でしっかりお互いの顔を確認していたものの、いざ実際にお会いすると、皆さまやや緊張した面持ちに。お互い丁寧な挨拶から始まりましたが…今までの交流もあり、あっという間に打ち解けました。

7月に続き、搭乗券のご提供にご協力いただいたハワイアン航空様の夜便を利用し、羽田は21時台に出発しました。すでにハワイのムード溢れる機内に、視察団一行のテンションも変わっていきました。
真冬の日本から約7時間のフライトを経て、現地のホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港へ到着したのは、雨季とはいえ気持ちよく晴れた朝でした。

穏やかな温度とさわやかな風のホノルル

冬は偏西風の影響を夏よりも強く受けるため、往路のフライト時間が1時間ほど短くなります。(その代わり復路は向い風になるため、フライト時間が長くなります。)
今回のハワイ視察は、昨年7月視察と同様の旅程ですが、往路で短縮された時間で、「ヌウアヌ・パリ」という展望スポットを加えて視察しました。

ヌウアヌ・パリで初めての集合写真

貿易風が体感できる「ヌウアヌ・パリ」

ヌウアヌ・パリとは、1795年にカメハメハ大王がハワイ全島を制覇するための最後の戦いが繰り広げられた歴史ある場所です。「パリ」は、ハワイ語で「崖」の意味で、展望台から見える山と海の爽やかなコントラストが絶景です。展望台では、体がよろめくような強い風が吹き、先生からは「貿易風を体感してる!」と思わず声が漏れていました。

強風のなか、古戦場に思いを馳せて、ヌウアヌ・パリの展望台で説明を聞く先生たち


視察ツアーで訪れた主な訪問先(1日目、2日目) 

パンチボウル国立太平洋記念墓地
アロハプログラム・キュレーターのロバーツさゆりさんのダウンタウン歴史ツアー:
イオラニ宮殿、リリウオカラニ女王像、州議会議事堂、セント・アンドリュー大聖堂、キャピトル・モダン(旧ハワイ州立美術館)、カメハメハ大王像、ホノルル・ハレ(市庁舎) 等
ポリネシア航海協会
■ハワイ大学マノア校訪問 
― 経済学部教授、経済学研究科委員長、社会科学部 国際連携担当顧問の樽井礼 先生によるご案内
― ハワイ大学でアスリート教育を手掛ける部署にてMarketing Specialist、Videoboard Managerの高田祐太郎 先生によるスポーツ関連施設についてのご案内
■ハワイ大学医学部 がんセンター訪問
― がん疫学部で疫学専門家の岡田悠偉人 先生によるご案内
ビショップミュージアム

  7月視察の初日レポートはこちら
      2日目レポートはこちら
      3日目レポートはこちら


12月の視察ツアーで訪れた場所の一部をご紹介します。

ダウンタウン歴史ツアー
米国唯一の宮殿である、イオラニ宮殿の前にて。
ハワイの歴史の説明を受けながら歩いてスポットをめぐりました。
12月は街もクリスマス仕様に。市庁舎のデコレーションもにぎやかです。
暖かいハワイならではの緑が映えるクリスマス!

視察初日の夕刻に訪れた、ポリネシア航海協会では、「ホクレア」の初航海から50周年を記念して、2023年~2027年まで、太平洋を巡る航海をおこなっています。日本にも寄港する計画です。ぜひ生徒たちと寄港先にも訪れたい!と先生方は目を輝かせていました。ロマンがあります。

ハワイの伝統航海術を継承し、星や太陽の動きや、波や風の変化など自然の力を利用して航海を続ける伝統航海カヌー・ホクレアの姉妹カヌー「ヒキアナリア」にて。
ポリネシア航海協会ではスタッフのMarkさんより講義を受けました。
水平線と太陽の位置から太陽の角度を割り出すワークショップ(下段)。
計器を使用せずに測る方法として、航海時にはとても重要なものです。


ツアー2日目には、ハワイ大学のキャンパスも視察しました。

緑豊かなハワイ大学マノア校。キャンパスを樽井礼先生にご案内いただきました。
研究型大学であるマノア校は、沖縄研究もおこなわれています。
高田祐太郎先生にご案内いただき、ハワイ大学の立派なアリーナも視察。
女子バスケットボールチームが練習をしていました。

ホノルル市と東京都渋谷区は、2024年5月31日に姉妹都市を提携しました。
2024年6月には、ハワイ大学の女子バスケットボールチームが来日。過去にインターハイで7連覇した東京医療保健大学と渋谷区内で交流試合をしたり、小学生向けのクリニックを開催したりと、継続的に交流をおこなっています。

ハワイ大学医学部 がんセンター
研究センター周辺で、医学部の岡田悠偉人先生からオンラインレクチャーを受けました。
キャンパスのあるカカアコ地区は、大学の移転とともに再開発された地区。

2日目最後の視察は、ハワイ州最大の自然史と文化史の博物館、ビショップミュージアム

ビショップミュージアムは、カメハメハ王家最後の直系子孫であるバニース・パウアヒ王女亡き後に、夫のチャールズ・リード・ビショップ氏が設立した美術館。
雨季にはカメハメハ大王が大切にしている「クー(神)」に布をつけて祭る風習(左)。
ネイティブハワイアンは超自然の力「マナ」を信じ、鳥の羽、犬・魚や人の歯を使った装飾品などの展示も多くあります。
王などがベルトのように腰に巻くサッシュ(下段右から2番目)。

大切にされるハワイアンの心と文化

ハワイに到着してから、現地の看板表示やツアーでの説明など、いたるところでハワイ語を見たり聞いたりする機会がありました。中でも印象的な言葉が、Mālama(マラマ)=思いやりの心。思いやりをもって自然、人々、生き物、環境すべてに接すること。ハワイ州観光局も、この先ずっと美しいハワイであるために「マラマハワイ(ハワイを思いやる心)」をスローガンに掲げています。また、Kōkua(コクア)=助け合う、もハワイでよく使われる言葉だそうで、現地では ”Please Kōkua”(ご協力をお願いします!)などと、英語と混ぜて使うことも。
よく知られているAloha(アロハ)には、「こんにちは」「さようなら」の挨拶だけではなく、愛、思いやり、尊敬するなど、たくさんの意味があるそうです。
ハワイは米国であり、公用語は英語でありますが、ネイティブハワイアンの歴史や文化をとても大切にしています。その一つがハワイ語です。
(ハワイが米国の州になってから、ハワイ文化が薄れつつあったところ、それを取り戻そうとする復興運動も行われたという歴史があります。)

ハワイ大学の医学部では、「人に寄り添える人」を入学させたいということで、1年以上かけて何度も面接をおこなって入学者を決定させるのだそうです。ここでもハワイアンの風土が根付いているようです。

米国50番目の州である、ハワイ州の旗(右)。
英国海軍の探検家であるジェームズ・クック(通称キャプテン・クック)のハワイ来島を機に、ハワイは英国の影響を強く受けるも、1812年の米英戦争下、当時独立を保っていたハワイ王国のカメハメハ大王が、両国に配慮してアメリカ国旗とイギリス国旗の要素を取り入れたとされる旗。
赤、青、白からなる8本の線。ハワイの主要な8つの島を表しています。


視察を経て、参加された先生方の「事後ワークショップ」も行いました。
先生同士が連携をとり、情報を共有しながら計画を進めた視察を振り返り、現地での気づきや探究型の学びへつなげる視点なども発表し合いました。

このあとは、12月視察をおこなった各先生の現地訪問先の情報などを公開していきます。お楽しみに!