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電極触媒の研究から事業化によってカーボンニュートラル達成する!  トビタテ奨学生【大学生等コース】の留学ビジョン

トビタテ生情報
名前:原田祐弥さん
学校:山形大学 大学院 有機材料システム研究科 有機材料システム専攻 博士後期課程2年
留学先:アメリカ合衆国 イリノイ州
留学期間:2022年6月-2023年3月

留学内容

米国のイリノイ大学アーバナシャンペーン校の研究グループにて、研究留学しています。私は“触媒”という反応を促進する材料の研究をしていて、特に電気を使ってクリーンなエネルギーキャリアの水素を生産する触媒の研究をしています。現在滞在しているグループはこの分野において非常に著名で、研究遂行能力と研究の進め方を学びつつ研究を加速させるのが1つ目の目標です。海外でなおかつ、世界トップクラスのグループの中でプロジェクトを遂行することは研究面でも個人の成長のためにもこの上ない貴重な機会です。また日本に比べて米国は技術系企業と学術の距離が近いため、産学連携のシステムとそのノウハウを学び、自身の研究を社会に実装するロードマップをつくることが2つ目の目標です。この留学で進歩した研究、獲得した知識・資質を基に、将来は研究者もしくは企業人材としてカーボンニュートラル達成に貢献したいと思っています。

イリノイ大学アーバナシャンペーン校のキャンパス

コロナ禍で留学準備をする上で感じたこと、心がけたこと

私は留学に行きたいという気持ちは強く、トビタテに応募する決断をすることまでには悩みませんでした。しかし、感染症の流行により、行けるかどうかわからないという不確定状況が出国1か月前まで続いていました。特に私の大学では、私がコロナ禍始まって一番初めの留学生ということもあり、大学の許可を得るまでに労力と時間を費やしました。大学側からは、現地においてコロナにかからないためにはどうするか、コロナにかかったらどうするか、州や各郡(County)の問い合わせ窓口はどこか?現在はどのような方針をとっているか?等に関して文書化を求められました。その際に、基本的に自分で対処が取れることを証明するために参考となるサイトと対処フローを記載しました。自分が許可する側になった際に、「この学生だったら行っても大丈夫そう」思えるようなアクションを起こしたり示したりすることが大事だなと認識しました。

留学経験を生かして実現したい志

化石燃料から排出される二酸化炭素は地球温暖化を進行させる大きな一因です。2050年までに排出量を0にする “カーボンニュートラル “を達成しなければ、気候変動等が深刻化し、人類は大きな打撃を被ると予測されています。この前途多難な課題を僅かな時間で解決するためには、まず革新的な技術が必要です。本留学先である世界トップクラスの環境で習得した研究遂行能力は、それを生み出す上で重要な基盤となります。 最終的には、本留学で得た社会実装ロードマップを基に、技術を社会に実装していきたいです。エネルギー問題は世界において横断的な課題である一方、文化的、政治的および地学的な要素が複雑に絡み合っているため多国籍・多文化な組織でこの課題に挑戦することが必至だと考えます。そこで米国で研究プロジェクトを遂行して得たグローバルなコミュニケーション力を基に、多国籍のチームやアライアンスを組織し、志を実現に変えていきたいと思います。

留学を考えるみなさんへ

「いつか留学してみたい!」っていう人は私の周りにも沢山います。でも、本当に留学する人って凄く少数派なのです。迷っている人に、博士課程の自分だから言えることは、学年や課程とともにタスクは増えていきますし、留学に行くことが現実的には難しくなっていきます。興味を持ったときがベストタイミングです。また、この不確実性が増すこの世界ではいつ留学ができなくなるかもわかりません。現にパンデミックや戦争等によって、強い想いを持ちつつ留学を諦めさせられた人もいたはずです。留学に行ける今の社会情勢が続くとは考えないでください。コンフォートゾーンを出てみるからこそ出会える人々・文化、自分そして将来があります。ぜひ留学の計画を真剣に考えてみてください。

後輩のみなさんへのアドバイス

私がお薦めしたいのは留学半ばに何か一つでも成長を実感できる機会を用意することをお薦めしたいです。私にとってそれは、二つの国際会議で発表をすることでした。留学3か月目にポーランドのワルシャワで行われた国際会議、4か月目に米国アトランタで行われた国際会議にて発表しました。そこでは、米国滞在以前に比べて、言語能力の向上とプレゼンテーション力が著しく向上していることに気づきました。またその甲斐あってか、一方の国際会議では受賞することもできました。自身の成長を実感できてとても嬉しかったですし、自分に自信がつきました。海外では慣れないことやアウェイの環境等によって、萎縮してしまったり、沈んでしまったりすることもあります。こういう機会を設け、成長を実感することでそれを和らげることが出来るはずです。ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?

国際会議で発表

いかがでしたか?

他にも、コロナ禍を乗り越えてトビタテ奨学生としてトビタち、留学生活を送っている若者の志と意気込みをマガジンにて配信中!
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