スイス留学→JETROに就職 柴田北斗さんの就活とキャリア
柴田さんについて
「海外インターンで感じた日本への危機感。留学中に抱いた「日本と新興国をWIN-WINに繋ぎたい」という想いからJETROに就職しました。」
高校時代から目指していた、国際関係
海外との出会いは中学生の頃です。地域の学生代表としてオーストラリアに派遣してもらい、異文化交流の楽しみを知りました。高校は、帰国生も多い国際的な高校に進学。当時から国際関係に興味を持ち、国連などの国際関係に従事することを目指そうと思っていました。
「フロンティア」の可能性に気がついた、アフリカ銀行でのインターン
上智大学のフランス語学科を選んだのは、まずは世界で戦える語学の素地を身につけたかったことと、国際関係のキャリアを多く輩出している環境があるためです。国連などを目指すなら大学院にも行くことになるので、大学では専門性を身につける前に、国連の公用語であるフランス語をしっかり学ぶ必要があると思っていました。
留学前にはアフリカ開発銀行でのインターンにも参加しました。そこで「アジア諸国に比べ、日本企業はまだ全然アフリカに進出していないんだな」「このままで日本大丈夫なのかな」と感じたことが、のちに進路決定にも大きく影響しました。
ジュネーブとチュニジアでの留学。
日本企業の海外進出の遅れを実感した
念願の留学先には、国連のあるスイス・ジュネーブを選びました。
テーマは平和構築。まさに国際関係の本丸で国際政治を学べるのは最高の環境でしたが、最初の一ヶ月はフランス語に全くついていけず苦労しました。
他のヨーロッパ諸国からきた留学生はすでにフランス語が堪能なんですよね。
寮での会話など全然入れず、挫折しかけたのですが、英語を併用しながら徐々にフランス語に慣らしていきました。授業は録音をあとで聞き直しながら、なんとか食らいついていました。
留学中にはチュニジア・チュニスのNGOでモブディオンのインターンにも参加しました。当時「アラブの春」もあり、目と鼻の先のアフリカの方へ行ってみたいと思ったんです。でも実は一番心に残ったのは、街中でたくさん見かける中国・韓国メーカーの看板でした。
日本は世界に優れたプロダクトを発信していると思っていたけど、新興国にはまだ全然根付いていない、アジア諸国においていかれているというような印象を受けました。
それまで高校時代からずっと海外の恵まれない国の役に立ちたいと思っていたけれど、まずは国際益の前に、日本の国益に視点を置くも良いのではないか?という気持ちが芽生えていきました。
また、チュニジアに来てこそこのようなことに気づけたのだから、今後、先進国以上にどんどん新興国の現場に足を運んで実態を知りたい、と思うようにもなりました。
インターンシップ先でのイベントにて、学生たちと
インターン先のチュニジア・イタリアのメンバーたちと
貿易・投資や海外展開支援に領域をシフトした就活
留学を経て、キャリアの指向性は変わりました。
「紛争後の社会」「リソースのない国に何ができるか」から、「これから元気に突き進んでいく国と日本の間で何ができるか」になったんです。
新興国のビジネス開発に関われる仕事ということで、就活ターゲットは商社・JICA・JETROに絞りきっていました。やりたくない仕事に無理に就くつもりはありませんでした。もしダメだったら、元々志した国際協力のキャリアに軌道を戻して大学院進学を考えていたと思います。
JETROに就職したのは、国内の産業界や中小企業のニーズに基づき、日本の置かれた国際的環境、政策の要請、海外や国際機関との関係を踏まえ、政府と民間の双方に対し働きかけられる立場だと感じたためです。
拡大する新興国市場への戦略的なビジネス展開を図る観点から、政策と実務のバランスの取れた支援活動ができると思いました。
実はボストンキャリアフォーラムに参加し、その場でひとつ内定をいただいていたので、少し気持ちに余裕を持てたこともよかったと思います。
インターンや学生団体の代表は継続していた
僕の就活の戦略は「自分らしくあるために、自由にやりたいことをやること」。就活一本勝負の生活になることをあえて避けていました。
アフリカ関係の学生団体で代表を務めたり、国会議員のインターンをしたり、学生のうちにしかできないことは積極的に取り組み続けていました。そこで出会った大人たちやアフリカに関わる人たちにESを見てもらったり、現場の最前線の話を聞いたりできたことは、就活でもリアリティのある話ができて、すごくプラスになりました。
正直、そっちを頑張りすぎて、就活に割いた時間が少なかったような反省もちょっとだけあります(笑)。
留年は一切ハンデにならず
留学前から5年生をやることを決めていたので、帰国後に就活を開始しました。
周囲にも留学をする人が多く、留年する人は多かったので、心理的な抵抗感は少なかったです。留学してたんですよ、といえば面接官も理解してくれましたし、もしそこを理解してくれないような企業はグローバル化とは縁遠いと思うので、いかないですよね(笑)
入職してみたら同期のなかでも4割くらいは5年生を経験していたので、実はあまり珍しくないんだと思いました。
留学で得た力は就活でもプラスになりました。知らない場所に情熱で飛び込んでいく行動力や、いろんな人に出会って話を聞くことで自分のほしい情報が得られるという実感は、おおいに役立ちました。
日本に来た留学生との交流パーティー
大学でアフリカ関連イベントを開催
現在は中小企業の海外展開と新興国ビジネス開発の両輪を目指す
入構直後、企業の海外活動の支援、貿易・投資に関わる人材育成、新興国のビジネス開発・産業育成・インフラの輸出支援に携わる部署に配属され、部署全体の統括、総合調整の一端を担いました。
多岐にわたる事業を展開する部署において、各チームの所轄事業を俯瞰的に見ることができ、事業の政策的背景や政策が事業として形になる過程を学ぶ貴重な経験をしました。
いまは中小企業で海外ビジネスを牽引するグローバル人材の育成を推進する事業を担当しています。
中小企業では海外進出を中核的に推進できる人材が少ないことが調査で明らかになっています。そこで、情報収集、戦略立案、外国語コミュニケーションについて研修プログラムを実施しています。
この事業を通じてアフリカを目指す企業の支援も行っています。
入構時に想像していなかった「人材」の切り口から、日本企業の課題解決とフロンティア市場開拓支援の両輪に寄与しており、まさに、政策的要請に対しジェトロとしてソリューションを提供する立場として働いていると実感します。
今後は、日本企業のフロンティア市場への挑戦に対し、戦略形成をも担えるような立場として活躍できるよう経験を重ねたいです。いろんな立場の人を巻き込んで、時にはぶつかりながら進めないといけない仕事ですので、留学経験で得たコミュニケーションスキルがとても活きていると思います。
柴田さんの就活タイムライン
語学について
高校でも英語を頑張っていましたが、大学で独学も含めて頑張りました。語学は普段から接する場を持つことが大事だと思います。
英語は、CNN Student News(現:CNN 10)を見ていました。Webサイトにはキャスターが読んだ原稿も載っていたので、教材として有効でした。大学でも英語を使う授業を意識的に受けました。
フランス語は大学の授業に加えてDuolingoというアプリで自学していました。いまもフランスのテレビニュースを手に入れて視聴したりしています。
柴田さんからのメッセージ
柴田さんの留学についてもっと知りたい人へ
トビタテ!留学JAPAN公式ホームページで公開されている留学大図鑑から体験談を読むことができます。
※留学大図鑑とは…海外にトビタった経験を持つ1757人(2021年2月現在)の留学体験談をもとに、計画の立て方や課題の解決方法を検索できるサイトです。留学を検討している人は是非活用してみてください!