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物価の安い東南アジアで長期留学

海外留学には興味はあるけれど、円安や通っている大学の学費負担を考えると、留学費用面で諦めかけている学生さんやご家庭は多くあるようです。
ここでは、留学先や現地の生活費などをうまく工夫して留学を実行した先輩の例をご紹介します。

荻野なつれ さん
沖縄県立向陽高等学校/高知大学 卒業/京都大学大学院 在籍
留学先:タイ王国(大学在学時①)
    ラオス人民民主共和国(大学在学時②)
    タイ王国(高校在学時)

POINT! 
・物価の安い国を探す
・村落でのホームステイ
・申請できる助成金等は申し込む


【タイ王国への留学】

留学先の大学の正門前で

留学期間
2018年8月〜2019年5月
留学先
コーンケーン県、コーンケーン大学 International College, International Affairs
留学目的
所属大学との協定校へ交換留学に行っていました。授業は英語で、人類学やメコン流域の歴史文化関連に関する授業を選んで受講していました。

【留学費用概算】(学費納入総額、住居費、生活費)

■学費:なし
※日本の在籍大学への授業料はかかるが、授業料等減免制度(半期分)適用
■住居水道光熱費:月約20,000円(内、大学付近のアパート月約16,000円)
■生活費:月約50,000円

⇒総費用 約86万円(約10ヶ月間)

※返済不要の奨学金等:計約41万円分受給・免除
・国際交流基金助成(高知大学)約15万円受給
・授業料等減免制度 約26万円分免除(半期分)

留学を考えるうえでどんな経済的制約がありましたか?

高校卒業以降の留学は母子家庭だったことに加えて、地元沖縄県を離れて高知県で一人暮らしをしていたこともあり、親にあまり経済的負担をかけられない状況にありました。

どのように費用を工夫しましたか

申請できるものはする!

在籍していた高知大学の交換留学制度を用いて留学しました。高知大学からは国際交流基金助成として150,000円の支給もありました。
また、毎年授業料免除申請を出していたのですが、授業料等減免制度が適用され半期分で1年間の留学ができました。

物価の安い国を選ぶ

タイという物価が低い国を選んでいたことが、費用をかなり抑えることができた背景にあると思います。
食事は基本的に外食(学食やアパート周辺の食堂)で済ませていました。学校や学校周辺の食堂や露店であれば、1日150バーツ(約600円)ほどあれば飲み物を買っても少しお菓子を買っても余裕でしたので、食費だけ見ると月約2万円でした。
タイは大学まで制服なので、制服代や日用品などは自分で揃える必要があります。それでも、特別旅行に行ったり遊んだりしない限りは月に約5万円で生活することができました。

無料で利用できるものを使う

交通費は大学のシャトルバスを利用することが多かったので基本的にはかかっていませんでした。

私の留学経験のなかで最も親への負担がかかったのがこの交換留学だと思います(それでも他国に比べると全然かかっていないほうだと思います!)。学生ビザということもあり現地でアルバイトなどすることができないのでこの頃までは仕送りのみで生活をしていました。

イベントで一緒にお菓子を作って出店したインドネシアからの留学生仲間と


【ラオス人民民主共和国への留学】

ラオスの農村でインタビューをしている様子

留学期間
2019年8月〜2020年4月、2023年1月〜3月(合計 約11ヶ月間)
※トビタテ!留学JAPAN「日本代表プログラム」(大学生等コース)
第10期生
※コロナ禍により中断・再開あり
留学先
ヴィエンチャン県
留学目的
ラオス農村部でフィールドワークをしていました。1990年代後半にラオスで撮られた写真とおなじ人・場所を探して写真を撮り、今昔写真集を作成するというものでした。それと同時に、現地の人びとのライフヒストリーの聞き取りをおこなったり、現在の研究の主軸であるタケやラタンを用いた手工芸品製作に関する調査をしていました。

【留学費用概算】(学費納入総額、住居費、生活費)

■学費:なし
■住居水道光熱費:月約15,000円 
※ホームステイ先が決まるまでは約35,000円
※2023年~の留学時は支払いなし
■生活費:月約5,000円

⇒総費用 約40万円(約11ヶ月間)

★返済不要の奨学金:計約152万円受給
・トビタテ!留学JAPAN「日本代表プログラム」約152万円受給
・授業料等減免制度 約26万円分免除(半期分)
※2019年の学部生時代は休学してトビタテで留学、大学院進学後2023年に留学が再開した時は、京都大学で授業料等減免制度を申請。

留学を考えるうえでどんな経済的制約がありましたか?

既述の内容ではありますが、母子家庭であることと実家を離れて一人暮らしをしていることから実家に経済的に頼ることはあまりできませんでした。大学では人類学を専攻していたのでフィールドワークがしたかったことと、留学計画を自分で立てることができることからも生活費がもらえるトビタテ!留学JAPANで行けたら…!という思いが強く有りました。

どのように費用を工夫しましたか

村落でのホームステイで費用を安く

フィールドワークがメインで大学には通っていなかったので学費はありませんでした。ホームステイをしていて、住居費を先方は要らないと言ってくれましたが食費を渡しているわけでもなかったので、交渉の末、月100ドルほど渡せるようになりました。コロナ後に再渡航したときには期間が短かったこともあり、住居費は払いませんでした。
主な出費としては、首都と村落間の交通費(400〜500円/回)や携帯代(700〜900円/月)、村落の子どもたちへのおやつ代、2〜3日に一度のシャンプー代(110円/回)細々とした日用品で、個々人によりますが、基本的には村落で5000円/月もあれば十分で、本当に出費が少なかったです。
ただ、無償でホームステイや調査をさせていただいていたので、一緒に市場へ行く機会などあれば肉や魚など比較的高価なものの支払いをしたり、率先しておつかいに行って支払ったりしていました。

ホームステイ先が決まるまでは1ヵ月半ほど首都のアパートに暮らしていました。そのときは、鍵・風呂トイレ付きの空き部屋をいくつか探してみて、最も条件がよかった、35000円弱/月の部屋に住んでいました。
慣れない土地で現地のひとがやさしくしてくれていたのもありますが、首都から村落へ2〜3時間ほどの移動を要するときも知り合いが車に乗せていってくれて交通費が安くなったり、洗濯や水浴びも特に制限なく自由にさせてくれていました。

ラオスは本当に織物が綺麗で、伝統的巻きスカートを仕立てたりすると、それなりに個人的な出費があります…笑


ラオスの農村部にいると空が広く感じます

メッセージ

フィールドワークは安全第一です。私は「運良く」恵まれた環境で安全に暮らすことができていますが、セキュリティ面や設備などを整えたり、知り合いもいない土地へ入るときにはやはり住居もある程度お金をかけて、丁寧に選んでいく必要があると思います。

私は調査地選定まで、知り合いやツテがあったのでその紹介でホームステイ先が決まり、そしてこれまでに日本と交流のあるいくつかの村落の選択肢から調査地の一村を選びました。はじめてフィールドワークに行くときや現地の情報が乏しいときは、信頼できる知り合いや現地のひとの紹介が安全な可能性が高いと思います。

また、農村に滞在していたので出費する機会があまりなく費用を抑えられました。私の例は、あくまで一例として参考にしてください!


【高校時代にも留学経験あり!】
高校3年時 タイ王国

留学期間
2014年5月〜2015年3月
留学先
チェンマイ県、ワチラウィット高校
留学目的
交換留学をしていました。タイの高校生とおなじクラス(高校3年生、理系クラス)での授業を受講していました。

【留学費用について】
ホストスクール(私立高校)の学費およびホストファミリー受け入れ代(家賃など)はなかったです。制服代や日常の生活費、食費などは自費でした。東南アジア、特にタイだと物価も安く欧米諸国に比べて親の負担は少なかったと思います。

当時、自分でお金を払っていたのは、携帯代(スマホはWi-Fi環境下のみの使用。現地ではプリペイド式の携帯電話)、学食でのお昼ご飯(1食100円~)、休日に出かける際などの娯楽費などです。家族で食事に出かけるときは多くは出してくれていましたが、時々自分の分(300円位)は払うようにしていました。

当時どのような状況でしたか?

出身である沖縄県の県費交換留学制度で行かせてもらいました。試験は英語試験と親子面接。希望国をいくつか出すことができて、そのなかでタイを希望して行きました。地域や学校は留学送り出し団体次第なので、こちらで決めることはできなかったです。

我が家は経済的には裕福ではなかったのですが、中学1年でアメリカへ3週間、高校でドイツ2週間とペルー2〜3週間にそれぞれ短期留学へ行っています。それらも県や市、ユースホステル関連などのプログラムで、通常留学へ行く場合の40%〜70%ぐらいの負担額で行くことができました。
留学プログラムを少し探してみると、プログラムが決められていたり面接試験に重きをおいていたりすることもありますが、援助やサポートが多い留学制度はたくさんあると思います!

東北タイの地方部にて 
この時に村落にぷらぷら遊びに行っていた経験がその後のトビタテの留学に生かされた気がします


※費用などは、留学当時のものです。


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