#せかい部加盟校 オンライン交流会で独自の海外研修事例を3校が発表!
文部科学省 官民協働海外留学創出プロジェクト トビタテ!留学JAPANでは、「#せかい部加盟校」の高校の先生向けのオンライン交流会を2024年3月28日に実施しました。生徒の海外研修を独自プログラムで展開する高校3校に、事例の発表をいただきましたのでレポートいたします。
※「宮崎県立 宮崎大宮高等学校」「神奈川県立 平塚江南高等学校」「東京都私立 三田国際学園中学校・高等学校」の先生方に発表いただきました。
宮崎県立 宮崎大宮高等学校
宮崎大宮高等学校は、SGH(スーパーグローバルハイスクール)を経て、2020年よりWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)の指定事業を文科省より受けています。海外研修プログラムを教育課程の中に位置づけて、「探究の時間」との接続を図っています。
海外研修は台湾、ベトナム、シンガポール、アメリカの4つの目的地があり、プログラムは基本的に自校の先生の手で計画し、現地プログラムの内容は生徒自らが作り上げています。
台湾、ベトナムでの研修では、姉妹校との交流をメインに活動しています。シンガポール、アメリカの研修では、大学生との交流等を通した進路選択を意識した活動をしています。
【ベトナム研修の協働性の事例】
ベトナムへの研修では姉妹校を訪れ、10日程度の渡航を通して学びを深めます。現地へ「ワンショット」の交流ではない活動を意識しています。日本では宮崎大学などの機関を通してベトナムについての知識を深め、現地でもJETROやJICAといった機関への訪問を通した学習をしています。
プログラムでは、現地の高校体験、ホームステイ(5泊6日・1人1家庭)を通してベトナムの現地の方々との交流を重視しています。ホストファミリーとは現地では「家族」となり、ベトナムを味わいつくします。
【海外研修の特徴】
本校の海外研修の特徴は2つあります。
1. ギブ アンド テイク
姉妹校とは、ワンショットの交流ではなく、数年かけて多数の交流を経て研修を実施しています。
例)
数年をかけて築いてきた交流事業が、コロナ禍で行えなくなってしまったことを諦めることなく強みにして、オンラインでの交流に切り替えて、交流をより進化させました。
・コロナ禍には4カ国のオンライン交流
※グエン・タット・タイン高校が連携している他国の学校も参加
・本校からはSTEAM教育をベースに、科学技術振興機構の協力を得てオンラインプログラムを実施
⇒その後、対面も実施するなど形を変えて継続
日本での交流も踏まえて現地に赴くことで、深い学びにつながっています。
なお、研修を通して、生徒が「知る」→「体感する」→「味わう」ことを大切にしています。
例えば「知る」については、学校外の力を借りることです。
宮崎大学(国際連携センター)、日越大学、ジェトロ、JICAなどを通して、交流できる方の紹介や言語や文化の講義などをしてもらい、ベトナムを知る取り組みを行いました。
2. イマージョン(浸る):心通わすイマージョン的プログラムを重視
現地の高校やホームステイで体験から、「もっと話したい」「もっとわかりたい」という気持ちが芽生え、現地の人との関わりを通して言語などへの興味が広がります。
例えば、現地の生徒との英語や理科の実験の授業などの協働や運動、芸術の交流を通して、もっとわかりたいという思いが醸成されています。
英語や文化を理解するために研修に参加した生徒たちの目的が、手段になっていきます。このように「浸って」いくので、帰国してからも生徒の英語へのモチベーションが高まっています。
実際に楽しく学び深い時間を一緒に過ごした現地家族との別れの瞬間には、別れを惜しむ学生も多く、帰国後のさらなる英語学習や広い関心を持つきっかけにつながっていて、将来、国際的に物事を見る視点が養われています。
そのような研修を大切にしています。
宮崎大宮高等学校/お知らせ・活動報告
https://miyazakiohmiya-h.ed.jp/blog
神奈川県立 平塚江南高等学校
神奈川県立平塚江南高等学校は、全日制・普通科の高校で100年を超える歴史があります。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、国際的に活躍できる研究者を育てるという目標に沿った海外研修を行っています。
本校では、多様な他者と協働して新たな価値を創出し、社会に貢献する科学的探究者の育成を掲げており、このテーマを進めるために国際生を高める取り組みとして、台湾への海外研修を行っています。
【台湾の海外研修について】
海外研修は台湾にて、3泊4日の日程で行っています。研修は事前・事後学習を含めて「共創・探究」の選択科目の中で、グローバルサイエンススタディ(1単位)として実施しています。
海外研修プログラムでは、国際生の育成(英語での発表・コミュニケーション)、探究活動の充実(研究に触れ、フィードバックを得る)、グローバルな考え方に触れる、という要素を入れています。
事前学習では大学訪問やIT企業への訪問、オンラインで交流を行いました。渡航中では現地高校との交流や大学を訪問し、事後学習としてその活動・研究内容を地区発表会やかながわ探究フォーラムで発表しました。
本校では外部連携に力を入れており、台北在日経済文化代表処横浜分処に協力を依頼して協定校を探したり、各連携先に担当者を分担させて綿密なコミュニケーションを行ったりし、現地活動の質の向上を心がけています。
【プログラムを作るうえでの工夫点】
本校では以下の点を工夫してプログラムを考えています。
1.交流校探し
ノウハウがなかったところからスタートし、台北在日経済文化代表処横浜分処に赴いて協力依頼した。
2.オンライン交流
交流校が見つかってから、現地で交流を行う前に、オンラインでつながり、交流がスムーズに行われるようにした。
3.外部連携
事前学習から事後学習まで、外部とのつながりを意識し、学びの質を高めた。
外部連携先に直接連絡をとったり、学校運営協議会の委員にもつないでもらったりした。
4.担当間の連携
先生が一人で抱えこまず、担当職員間で分担して、綿密なコミュニケーションをとった。
【他校でも展開できるであろうポイント】
本校はSSHの特徴を軸とした海外研修プログラムを作成していますが、SSHではない学校でも取り組めそうなポイントをお伝えします。
■「総合的な探究の時間」(理数探究)とのつながりを意識してプログラムを考えること
本校は生徒自身の研究を海外でも使えるために、「事前学習~台湾研修~事後学習」を一貫させて研究を進めました。ゼロからだと大変ですが、総合的な探究の時間で行っている研究内容をベースにプログラムを考えることによって、より有意義な内容になっていくと思います。
■学校の外を意識すること
外部連携という視点を入れて、専門家からの指導を受けられたことです。
生徒の満足度も高かったですし、外部でのプレゼンの機会を提供することにより、さらにチャレンジしたいという生徒のモチベーションを高めることにもなっています。
神奈川県立平塚江南高等学校
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/hiratsukakonan-h/
東京都私立 三田国際学園中学校・高等学校
三田国際学園中学校・高等学校は、中高一貫校で3つのクラス(中学校)/3つのコース(高校)から編成され、英語がネイティブレベルの国際生(帰国生やインターナショナルスクール卒業生等)も多く、様々な生徒が在籍しています。中学のうち、学年の30~40%が英語がネイティブレベルの生徒で、海外大学進学者も増えています。
本校の海外留学についてと、修学旅行としての海外研修の内容をお伝えします。
【海外留学について】
本校の留学の意義は、一人でも多くの生徒を留学に行かせたいという思いがあります。
· STEP OUT OF YOUR COMFORT ZONE(快適な空間から抜け出す)
· BROADEN YOUR HORIZONS(視野を広げる)
中学は3年次に任意で、ターム留学(オーストラリア/約3ヶ月)と長期留学(オーストラリアかニュージーランド/約1年)があります。長期留学は中高一貫校ならではの取り組みです。
※2022年度は約100名(学年の約45%)がターム留学参加。
高校での長期留学については、学内留学と学外留学があります。
学内留学の留学先は、アメリカ、カナダ、イギリスです。
本校独自のプログラムがあり、単位認定可能、出発時教員が同行、中間視察として先生が現地に赴き面談等行う、帰国後に特別授業や講習と、勉強のケアができるようになっています。
学外留学は、学内以外のエージェントを通して参加するなどのプログラムで、非英語圏への渡航なども多数です。
学校での対応内容は、学内留学とほぼ変わらず、帰国のタイミングが合えば、特別授業などを学内留学者とともに行います。これらのように、帰国後の不安を特別講習を行うなどしてカバーしています。
高校の学内留学の中では、短期留学(高校1年次/約2週間)と長期留学(高校1年次~2年次/約10か月)があります。どちらも英語の授業だけでなく、フィールドワークやアクティビティを取り入れています。
長期留学の際に、留意している点があります。
●申し込み基準では、英語力の基準を設けず、マインドセットや生活態度を重視する
●大学受験対策をする(一般入試対策を行いながら、総合型選抜や推薦入試の利用も)
●進路は留学を最大限に生かす。(特に私立文系、海外大学)
留学を諦めてしまう原因として受験が挙げられるので、講習等を行って生徒の勉強のフォローをしています。
【修学旅行=海外研修】
本校では、修学旅行が海外研修の位置づけで、生徒が所属するコースによって目的地を分けています。(オーストラリア、シンガポール、フィンランド、カンボジア、台湾)
例えば、IC(インターナショナルコース)では、通常授業でも西オーストラリア州のカリキュラムを取り入れているため、現地に行って研修を行います。MSTC(メディカルサイエンス・テクノロジーコース)では、アジアの生徒たちが集まって研究成果を発表するイベントが行われているシンガポールを目的地にしています。
今後の渡航先の一つとしてのフィンランドの例をお伝えします。
担当教員自らが視察し、プログラム構築をしており、先日フィンランドを訪れました。フィンランドは、高度福祉国家で、背景には、高レベルの教育プログラム、人材クオリティなど社会的インフラが整っています。同国のIT大国、アントレプレナーシップの特徴を活かして、日本にない学びができる学びの場所として、現地の企業などとのコラボを含めて修学旅行先に決定しました。
本校では、このように教員が視察して渡航先を変更したり決定したりし、課題にあった研修プログラムを作り上げています。
本校では、学校全体に海外経験者が多くいることに加えて、多くの学生が留学にも行っています。学校内では、海外への不安よりも、海外へ飛び出すことが当たり前の雰囲気が出来上がっていることで、海外へ行っていない生徒たちも帰国した生徒から刺激を受け、新たな留学経験者を生み、相乗効果を生んでいます。
三田国際学園中学校・高等学校
https://www.mita-is.ed.jp/about/welcome/international.html
以上の3校はそれぞれ異なる特徴を持った学校であり、地域や教育環境に合わせて、独自の海外研修、留学制度を実施しています。
多様な渡航の形から今後のプログラム設計につながる学びを得ることができたのではないでしょうか。
事例発表のあとには、質疑応答などを含めた交流会を行いました。参加された先生方は、自校の現状や取り組みを鑑みて具体的な質問や活発な意見交換がなされました。
『#せかい部 加盟校』制度について、詳しくはこちらをご覧ください。
皆さまの学校のご加盟をお待ちしています。
『#せかい部 加盟校』 制度について|#せかい部(公式) (note.jp)