フィリピン留学→WEBマーケティング会社「Senjin Holdings」を設立 下山明彦さんの就活とキャリア
下山さんについて
勤務先 :株式会社Senjin Holdings ※代表取締役
出身大学 :東京大学 教育学部
出身地 :広島県広島市
留学先 :フィリピン/インド
留学テーマ:教育NGOでインターン/瞑想修行
「2年次に8ヶ月間留学しました。帰国後は学者になるか、就活をするか、起業をするか悩みました。まず学生の間に起業を経験することで他の選択肢が潰れることはないのではないかと考えたことに加えて、金融資産を蓄積することで選択肢が広がると思い、起業しました。」
東京の人に負けたくない。とにかくなんでも「一番」に。
私は広島県で生まれ育ちました。幼少期から人一倍負けず嫌いで勝負事が好きでした。高校生の時には「勉強だけにがむしゃらになるのではなく、自分の名刺代わりになるようなユニークな経験を積みたい」と考えるようになり、校内にディベート部を創設したりしていました。やるからにはなんでも「一番」を目指したいという気持ちがあったんです。地方在住の自分が東京の人に負けたくないという思いから、国内最高峰の高校生ビジネスコンテストに出場し、決勝大会まで進んだこともあります。
東大で得た自由と違和感。
何となく「一番」を目指して入った東京大学。学生生活はとにかく楽しかったです。授業に行くも行かないも自由、サークルに入るも入らないも自由、バイトをするもしないも自由。色々な自由に囲まれて最初の1年間を過ごす中で、やりたいことはたくさんあるのに、時が過ぎるのは一瞬だということを痛感しました。
このまま何となく「一番」を目指す生活を続けたら、その先に待っているのは恐らく、周りの友人たちと肩を並べて外資系トップ企業や省庁などに就職する自分。しかし、あらかじめキャリアが固定されていたり、組織の中で出世競争を戦い抜いたりする働き方は自分には合わず、キツイのではないかと思い始めました。加えて、英語力では他にも優秀な人がたくさんいて自分には叶いません。それならば自分の強み、僕ならではのスキルを活かしたいと考え始めたのが、大学2年生の時です。
「自分探し」の留学で粘り強さを学んだ。
大学2年生の時、トビタテ!留学JAPANの奨学金を活用して、フィリピンとインドに計8ヶ月間滞在しました。留学は人生のリセット期間と捉えていたため、大学は休学しました。
留学前に思い描いていた通り、留学中は外界と遮断されてとことん自分と向き合うことができたと感じています。フィリピンでは当時興味を抱いていた教育系のNGOで活動し、インドでは瞑想修行したりしました。瞑想のために10日間お寺に住み込み、毎朝4時に起床してから何も話さない、書かない、目も合わさずに生活するんです。シャワーを浴びるにしても現地では温水が出ません。サバイバル環境で瞑想し続ける経験からは、粘り強さを得ることができました。
余談ですが、後に起業する際、まず家を解約してしまいました。そこから2年間、ジムでシャワーを浴びオフィスで寝泊まりする日々を送ることになるのですが、そのような状況も乗り越えることができたのは留学経験があったからこそだと思っています。冗談抜きに、インドのお寺より日本のオフィスのほうが、ずーっと快適な居住環境ですよ(笑)。
「うまくいかなかったら就活する」そう決めて学生起業。
留学後、自分のキャリアについて考えていた際、実はかなり就活と起業で迷っていました。就活するなら外資系戦略コンサルを目指したい。戦略的に就活の準備もしていたんですよ。選考で有利に働くように、様々なインターンやビジネスコンペティションに参加し、複数の優勝経験も積みました。
一方で、起業するなら仮想通貨事業だなというビジョンも持ち始めていました。大学のゼミで仮想通貨を研究していたことに加え、学費や生活費を稼ぐために投資経験もあり、ユーザーとしても知見を持っていました。大学で学びを深めるうちに仮想通貨の将来性を確信するようになり、大学3年生の10月に株式会社CoinOtakuを設立しました。自分の事業が上手くいかなかったら改めて就活しようという軽い気持ちだったと思います。
立ち上げた仮想通貨メディアは当初、絶好調。日に日にページビュー数が増え、順調に波に乗ってきていました。しかし、膨れ上がっていた仮想通貨バブルが崩壊。ビットコイン事件を受け、相場は半分以下になりました。このタイミングで多くの会社が撤退しましたが、幸運なことにCoinOtakuは生き残りました。もちろん痛みがなかった訳ではなく、当時いたメンバーが半減するなど、辛い思いもしました。その後Senjin Holdingsを立ち上げました。会社をホールディングス化したことで、インターン生に社長を任せるなど、新たな取り組みを行えるようになりました。
ミッションは「若き才能を集めてビジネスで熱狂的に世界を変える」。
今の会社のミッションは「若き才能を集めてビジネスで熱狂的に世界を変える」です。webマーケティング事業に主軸を置いているのですが、webメディアの強みとして、世の中で流行っているものはジャンルを問わず試すことができるんです。興味のある業界に自由にアプローチできますから、これからの世の中にインパクトをもたらし得る事業を見つけることができると思っています。様々な人に世界を変えるチャンスを提供できるよう、頑張っている最中です。
最近は教育哲学やデザインにも興味を抱いています。教育哲学は事業を継続する際にチームで動く難しさとやりがいを実感してきた経験から関心を寄せるようになりました。デザインは、周囲に芸大生の友人が多い背景から、自分も学びたいと思うようになりました。実はデザインを通して多様な表現方法を学ぶことは事業を継続する上でも重要で、大学院に進むことも視野に入れています。僕の好きな言葉に、「人間は社会を彫刻するために生きている」というものがあります。自分にしかできないことをやり続け、社会に存在価値を残したいと考えています。
下山さんの事業立ち上げタイムライン
こちらが下山さんの事業立ち上げタイムラインです。休学して留学しその後起業した背景から留年しましたが、波乱の仮想通貨市場で生き抜き会社をホールディングス化させるなど唯一無二な経験をしました。来年、大学を卒業するそうです。
語学について
地元の広島県では英語を使う機会がなく、元々英語が苦手でした。トビタテ!の奨学金は語学力不問なので、留学の実現には特に問題ありませんでした。留学して少しは英会話の経験を積みましたが、もっと英語力に長けている人は世の中にたくさんいるので、私は自分が得意とするスキルを生かして生きていこうと考えています。
下山さんからのメッセージ
留学では想像していた100倍くらい面白い経験ができるはずです。
私も帰国してから、現地で思いついたことをもっとやってみても良かったのではないだろうかと考え、ちょっと後悔しました。(ドゥデルテ大統領が当選した時、現地にいたためもっと近付くことができたのではないだろうか…などなど)
時に計画から外れた経験を積むことも、人生を豊かにすると思います。