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お子さんの留学、どうでした? ~中学生、高校生の我が子を留学に送り出した保護者体験談~ CASE3:日本人が全くいない米国高校で1年間の交換留学

お話しを伺ったのは・・粂井優子さん。 コーチングや心理学を学び、企業研修の傍ら、1級家事セラピストとして、家事や子育てに関する講演を行う粂井優子さん。3人の子育てを通じて得た知見を活かした著書『見えない学力が身につく 勉強よりもお手伝い』でも、自立した子どもを育てるための考え方などを発信されています。そんな粂井家の末っ子であり長男の、龍三さんは「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」高校生コースの奨学生として米国に留学しました。

龍三さんの留学概要

留学スタイル 高校交換留学プログラム
        ※トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム高校生コース   
       (アカデミックロング分野)奨学生
国/都市   米国 Kingston
滞在期間   11か月 (2018年8月~2019年6月)
学校名    Kingston High School 公立高校 
全校生徒約  750人
滞在先    ホームステイ  
留学時の学年 日本:高校三年生 アメリカ:senior 

※粂井龍三さんの『留学ジャーナル』インタビュー記事

━御子息が高校時代に留学をするに至った経緯を教えてください。
 姉が留学を経て英語が流暢になった姿を見て憧れたのがきっかけです。うちは長女、次女、そして龍三の3人姉弟なのですが、とても仲が良く、留学した次女から受けた影響は大きいと思います。というのも、実は次女はもともと大の英語嫌いだったのですが、これからの時代、英語は使えたほうがよいし、苦手でも留学は出来る、と知ってから突然、自ら留学したいと言い出しました。その時はびっくりしましたが、自分で行先も受け入れ先も探してみるよう促したら、たくさんの選択肢にあたって自分に合う条件の学校に受かり、約1年の交換留学に飛び立ちました。

次女は最初の頃、英語がわからず相当な苦労をしたようですが、スポーツ万能だったことが奏功して、バスケやアメフト部に入り、すぐレギュラーに選ばれました。そうすると、嫉妬からチームメイトに足を怪我させられるという仰天の事件もありました。が、それすらも乗り越えてチームメイトと親友になっていました。
 
そういう苦労をひとりで乗り越えた次女が、帰国した時に自信にあふれ、輝いていたのを見て、龍三も「これは日本の慣れ親しんだ環境だけにいてはいかん」、と思ったようです。あとは大学の附属高校に通っており、受験勉強をする必要がない分、ユニークな経験をしたいと思ったこともあると思います。

短期ではなく、長期留学を考えたのはなぜでしょうか?
姉が最初の3か月、英語が聞き取れず、話せず、の状態で友達を作るのに苦労していたので、それを乗り越えて自由にコミュニケーションできる英語力を得るには長期でないと、と思ったようです。
 
最初に留学したいという意思を聞いた時の気持ちは?
 居心地のいい環境を飛び出して、誰も助けてはくれない環境に向かおうとする意欲が嬉しかったです。 語学を習得し、異文化に触れること、様々な人々との出会いは、息子の大きな糧になると思いました。
 
準備期間はどのくらいで、何をしましたか? 留学費用はどの程度かかりましたか?
約1年くらいです。留学エージェントとの契約、留学に必要な書類の作成、ビザの取得、奨学金の応募、日本の高校の休学の手続きなどを行いました。費用は、エージェント料約140万+生活費(月1万円)や保険代ですね。生活費はお昼ご飯代や遊び代、ホームステイのため宿泊費、朝夜ご飯は無料でした。

ホストファミリーは、龍三さんの家事力を絶賛したそう

━留学に送り出す上で、一番心配したこと、不安に感じたことは?
 龍三は家事も得意でしたし、人が好きで「僕は嫌いな人はいない、自分とは違った意見を持つ人に対しても、君はそう思うんだ」と語っているくらい、違いを尊重するタイプなんです。きっと出会った人と信頼関係を築くのだろうと思っておりましたので、あまり心配はありませんでした。
 
ただ、怪我や事故に関してのみ、案じていました。案の定、仲間との鬼ごっこの際、掌を骨折したり、救急車で運ばれたり、キャンプで燃えて飛んで来たナイロンが脛に付いて火傷をしたり等、色々ありましたが、結果、生きて帰ってきたので、オールオッケーです。
 
留学中の息子さんとのコミュニケーションはどのようにとっていましたか?
 留学エージェントから頻繁なやりとりは禁止されていたこともあり、 たまにLINEするくらいであまり連絡はなく、怪我等の時はありましたが、基本は便りがないのは元気な証拠だと思っておりました(笑)。
 
留学したことは、息子さんのその後の人生にどんな影響がありましたか?
 就活の幅の広がり、グローバルな視点の獲得、日本の固定概念にとらわれない柔軟さを身に着けたと思います。
粂井塾においても、中国人の子ども達に英語で教えたり、活動の幅も広がっているようです。 また、現地では、全校生徒の前で弾き語りを披露したり、サッカーにおいても活躍したり、水泳チームやシーズンスポーツでも活躍出来たり、ホストファミリーや、友人達と、深い信頼関係を構築できたことにより、更に自信を深めたようです。
 
また、ジェンダー、自己肯定感を高める教育、民族や社会問題への関心等、視野が大きく広がった事を感じています。 アメリカの親友が来日してくれたり、ワークアウェイで再び渡米し、放浪したり、旧友に会ったりと、その後の行動範囲は格段に広がりました。一人でどこへでもいける、どこでも自分はやっていける、と思っていると思います。 また、親元を離れたことにより、家庭の大切さも理解できたようで、帰国後更に優しくなりました。

留学先の友達と龍三さん

お子様を留学に送り出すかどうか、迷っている保護者の方へひとこと
 留学は、子どもの人生をとても豊かにしてくれます。 そこで得た経験や語学は、生きる上での大きな糧となっていきます。 娘も息子も「留学してなかったら今の自分はいない」と言うほど、苦労して乗り越えたからこその自信も得ました。 お子さんがこれから、幸せな人生を歩むためにも、異文化に触れること、自分とは違う価値観に触れること、誰も守ってはくれない環境で、自分の力でなんとか乗り越える経験をすることは、とても重要です。

子どもは何だってできますし、乗り越えられます。親はどうしても、子供のために困らないように道を整えてあげがちです。それよりは、整っていない道に送りだす勇気をもって、同時にお子さんの力を信じて、「あなたなら大丈夫!」と、笑顔で背中を押してあげて下さい。