中高教員のための海外進学 進路相談 Q&A
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中高教員のための海外進学 進路相談 Q&A

トビタテ!留学JAPANでは、教員に向けた留学情報発信を実施しています。今回は2021年7月29日に実施した 「【中高教員向け】 生徒の選択肢が広がる!海外進学相談に対応するための進路指導講座」において実際に参加された教員の方からのご質問を抜粋して掲載します。

回答者はハーバード大学在学中、NPO法人留学フェローシップ代表理事 髙島 崚輔 さん、開智日本橋学園 副校長・同NPO理事 近藤 健志先生です。

留学フェローシップ代表理事 髙島 崚輔さん
1997年大阪生まれ。灘中学校・高等学校卒。2015年春に東京大学,同年秋に米ハーバード大学に入学。環境エネルギー工学/公共政策専攻。幼い頃患った喘息の経験から関心を抱いた環境問題に対し,エネルギー分野からアプローチすべく,孫正義育英財団の支援を得て2年間休学し世界各地での視察取材・インターンを行う。学内ではラグビー,学生新聞カメラマン,国際会議HPAIRの運営等に携わる。ハーバード日本人会元会長。
留学フェローシップには2015年より参画し,2016年5月より理事長(代表理事)。
留学フェローシップ理事 近藤 健志先生
1968年東京生まれ。慶應大、米ダートマス大経営大学院卒。
キャリア前半のファイナンス、コンサルティング時代に「主体的に考え、行動する人材育成」の大切さを痛感。40歳前に教師に転身し、全寮制海陽学園の立ち上げに携わる。コーチングを活用した高校生の海外大学進学支援を始め、留学フェローシップにも参画。2015年より開智日本橋学園にて国際バカロレア教育を推進、「知の理論」「ビジネスマネージメント」のIB授業を担当。コーチングやファシリテーション、ケースメソッドを活用した生徒主体型の授業や生徒との対話方法を学び続けている。
2013年より留学フェローシップ理事。主に大学生メンターの研修、教員研修を担当。


Q1, 教え子から海外進学について相談された時に、一番大事なことは何でしょうか?

近藤先生:
海外に行きたいという選択は、一条校ではマイノリティであることがほとんどです。そもそも、相談をすること自体のハードルが高く、「ダメな理由」が先に出てきてしまいがちなので、その不安を取り除いてあげることが大切です。
一番ダメなののは「海外行くくらい優秀なら東大受けてくれないと困る」みたいな雰囲気を作ってしまうこと。

髙島さん:
「まず話をちゃんと聞いてくれたことが嬉しかった」という生徒は多いです。先生から「私は海外大学について詳しくないから、教えて欲しい」と言われたことが嬉しかった、と言う生徒もいる。先生達に専門知識がないことは生徒達もわかっているので、知識量がないことを恥じる必要はないと思います。



Q2, 髙島さん(講師)は最初から海外の大学に行きたかったのでしょうか?

髙島さん:
高二の冬までは日本の大学を受けようと思っていました。先輩に勧められたことがきっかけで「とりあえず見に行ってみよう」と思い、現地の学生と喋ってみると、目付きが良かったことが印象に残っています。自分のやりたいことを思い切り楽しんでいる。そういう人たちと一緒に勉強したいと思いました。

近藤先生:
きっかけはなんでもよくて、学生の目が良かった、と言うような、一見ロジカルじゃない理由を挙げる生徒は多い。今回コロナのおかげでオンラインのキャンパスビジットの機会が増え、現地の学生とも気軽に話せるようになりました。そういった機会を利用するのも良いと思います。


Q3, アメリカには「州立」と「私立」の大学があるかと思いますが、日本の高校生がアメリカの大学を選ぶ上で、その二つにそれぞれ特有な何らかの特徴などあるのでしょうか。例えば経済的な面や学生、教師の雰囲気など。

近藤先生:
私立の方がサポートが充実していたりするため、制度的な違いは理解した方がいいでしょう。
ただし、州立大学といってもいろいろあります。例えばワイオミング大学。イエローストーン国立公園の近くにあり、人口が少なく、資源が多い、いわばお金持ちの州。海外の学生にも奨学金を出してくれる。さらに、マイナー大学なので生徒へのケアも手厚い。

髙島さん:
州立・私立という区分はあるが、いずれにせよ、どれくらいケアがしっかりしてるかをみるのが大切です。規模も大学によってかなり異なり、UCLAみたいに1万人規模の大学もあれば、リベラルアーツカレッジでは400人程度のことも。学生と教授の比率も学校によって違う。当然、学生一人あたりに与えられる教授のサポートも変わってくるため、よく確認するべきです。


Q4, 国際教養系の日本の大学に進学することや交換留学で1年海外で学ぶことと比較した場合の海外進学のメリットは何でしょうか。
前者でもかなり高い語学力を身につけられると思いますし、本人の意欲次第で有意義な経験ができると思います。
生徒や保護者へ説明する際に、自分で納得のいく答えが見つかっていません。

髙島さん:
もちろん留学そのものの目的によるとは思います。
海外生活では、2年目以降、つまり慣れてきて防衛本能が溶けてきた後に得られる学びも多いです。生活に慣れてくると、チャレンジがしやすくなります。本当に大学を自分のフィールドとして使えるようになるまでには時間がかかるため、海外進学のメリットの一つでしょう。

また交換留学生だと現地学生と同じ寮に入れないこともあります。「同じ釜の飯」感が味わえないかもしれない。現地の学生や他の留学生たちと「一緒に育ってきた仲間」という感覚にまでなれるのは、学部留学ならではです。


Q5, コミュニティカレッジに入学して3年次に編入する方が、universityに入る大学よりも経済面としても学業等のハードル面でも易しいと伺います。universityはboarding feeも含めると1年間で600万円ほどかかるという認識です。米国で費用面を圧縮するための方法は奨学金以外にどのようなものが考えられますでしょうか。

近藤先生:
コミカレは良い選択になると思います。年間600万はやはり高い。アメリカにこだわるのであればそういった意味で二年間コミカレに行くのは良いと思います。
ただ、アメリカ以外で探してみるのも選択肢です。教え子では、日本の大学と同等の学費で行ける大学を探したら、行き着いたのがヨーロッパで日本人がほとんど留学したことのない国だったという子もいました。

髙島さん:
得られる学びが学費に見合うか、と真剣に考えるのは大事なことです。
4年制大学の中には、コミカレから編入で入学すると奨学金を得られない学校も多いので、気をつけて調べて欲しいと思います。


Q6, 就職がゴールではないですが、最近の日本企業は日本の国際系大学や1年留学ではダメで、色々な意味で外国大学を卒業していないと採用に有利にならないと聞いたことがあります。

近藤先生:
海外大学にいけば有利かと言うと、そうでもないとも思います。
就職の時に役に立つスキルの一つは、自分がやりたいこと・学んできたことを言語化できることだと思いますが、海外の大学に行った子の方がそれに慣れているケースは多いです。
また、ちゃんと学問をやった子も多いので、身についている論理性や、抽象的なことをディスカッションする力は、レベルが高くなっている可能性があります。


Q7, 逆にオーストラリアやアメリカの大学を卒業した後の現地就職が厳しいと伺います。海外大学に行くことでつく力は大きいと思うのですが、海外大学卒業者の進路についても教えてください。

髙島さん:
現地就職はどの国でもあまり簡単ではありません。アメリカだと普通の学生なら一年間、STEM領域では三年間現地で働く権利がありますが、あまり簡単には就職枠は見つからない。院に進学するか日本で就職する学生が多いと感じます。
院に進みたいと言う学生は多い印象です。働いた後にまた院で学んで進路を切り開く学生も増えているのではないでしょうか。


Q8,11月末にアメリカの大学に出願を控えている生徒がいる。給付型奨学金がもらえないと渡れない状況だが、締め切りが先に来る。どのように指導したらいいのか。

近藤先生:
奨学金が出なくても行けるような大学にも同時に出願しておくのが基本です。州立大学に関して言うと、学校による奨学金自体がないことが多い。受験しながら同時に奨学金を探すしかありません。

髙島さん:
私立大学でも、大学の奨学金を希望すると合格ハードルが上がることが多いため、奨学金を別に探した方が間接的に合格率が上がることもあります。
ただ、私立大学の奨学金は、交渉次第で金額を増やせるケースもあったりします。
また、まだ有名ではない「穴場大学」は交渉次第で奨学金を出してくれるケースもあるため、いろんな方法があることを知って欲しいです。


Q9, 穴場大学はどうやって見つけたらいいのか?

近藤先生:
難しい質問ですね。リベラルアーツカレッジでも、15年くらい前は誰も知らなかったデポー大学というところがあったのですが、今は相当数の日本人が受けるようになっています。
「穴場大学」となるには、大学が海外学生を積極的に求めていることも必要。そういう大学は大使館のエキスポみたいなものに絶対出てきますが、誰もブースの前に並んでないんですよ。なので、私の場合は、誰も並んでないブースをあえて探して回る、ということを地道にやりました。
「穴場」である期間は4−5年しかないこともあるため、地道なネットワーキングとその時々の情報収集が必要だと思います。

髙島さん:
自分が勉強したい分野がわかっているなら、それをスタートに探すのも良いと思います。例えば、論文を読むなどというとハードルが高いと感じるかもしれないですが、気になる分野の論文を読み、そこに出てきた先生が所属している大学を調べてみることで、有名ではないが自分の興味のある分野が栄えている大学を探せる可能性もあります。


Q10, 海外進学希望者に学校がどれだけ進路指導をしたらいいのか迷っています。留学を希望する生徒には留学エージェントに行くように勧めた方がいいでしょうか?エッセイや課外活動報告書をノウハウを知らない教員が指導するのでは、リスクがありますよね。

近藤先生:
無理に学校で全部指導する必要はありません。情報収集などは全部やるのは不可能に近いです。留学フェローシップのwebやセミナー、模擬授業などは情報収集のいいツールになります。エージェントさんだと高額なお金がかかってしまうケースもあるため、留学フェローシップのエッセイ指導セミナーは安価に行っています。

髙島さん:
自分で調べてみる、というのは生徒にも先生にもいい機会にもなると思います。わからないことはわからないと行った上で応援すること、話を聞いてあげることが重要です。
僕もそうでしたが、エッセイを書いていると、答えがないので、必ずどこかで行き詰まります。そういう時に、海外大のエッセイの知識はなくても、話を聞いてもらったり、自己分析のやりとりに付き合ってくれた先生がいました。僕の考えについて質問攻めにしてもらうことで、自分の本心を言語化できるようになりました。
普段の生徒を知っている、でも親ほど近くない関係性である、先生がそれをやってくれること。例え詳しいのが国内事情であっても「大学」を知っている先生がやってくれることが、とてもありがたかったです。


Q11, 複数の海外大学を併願していた高校生が「A大学の合格を受諾したが、そのあとで第一志望のB大学にも受かり、前者を蹴った」というように話しているのを小耳に挟んでしまいました。後に続く学年の生徒たちに悪影響がないか心配です。

この問題は、相手が日本の大学でも同じで、大学によって受け取り方は違います。ただ先生の立場としては、絶対に許しがたいことです。
親御さんに「就職活動において内定を複数保持する」くらいの感覚があり、「とりあえず受諾しちゃいなさい」とアドバイスしている可能性があるが、絶対にやめるべきです。高校としての信頼に関わるため、リスクが大きい。色々な 国に出願していて、他の国の合格発表前に期限がある場合は、デッドラインを伸ばす交渉ができる場合もあります。


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