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SIPS情報交換会レポート(2024年8月30日)

8月30日にSIPS情報交換会を実施しました。
今回は、対面開催を予定していましたが、台風10号の影響でオンライン開催に変更されました。皆様に対面でお会いできなかったことは残念でしたが、また別の機会に対面形式での開催を目指しています。
今回の情報交換会では、明治大学前学長・大六野先生の講演や日本の大学における国際化の現状や留学支援の取り組み、そして各国政府機関からのお知らせが共有されました。この記事ではSIPS情報交換会の内容をお伝えします。

そもそもSIPSとは…..

SIPSとは、留学機運を盛り上げたい職員と学生が一体となった「大学ごとのチーム」を全国から募集し、留学機運醸成にチームで取り組む大学等を支援するプラットフォームです。
定期的な大学間の相互交流や情報交換の場を設けることで、大学間のネットワーク化を図り、留学促進活動のインパクトを最大化しようという取り組みです。
2023年9月にはSIPSがスタートして以来初めての対面交流会も実施しました。今回はオンラインでの開催、日本各地から約37大学・85名の大学教職員、学生の方々が集まりました。
https://tobitate-mext.jasso.go.jp/news/detail.html?id=407

明治大学前学長・大六野耕作氏の講演:異文化との出会いが生む成長

特別講演では、明治大学前学長の大六野耕作先生にご登壇いただきました。大六野先生は、明治大学で国際化の推進に尽力され、特に学生の留学者数を10年間でおよそ7倍に増やした功績をお持ちです。
講演では「案ずるより産むが易し」という言葉を引用し、異文化体験の大切さと、それを支える教職員の役割についてお話しいただきました。
特に、文化や歴史が違う人たちがお互いを尊重しながら徹底的に「ネゴシエート(交渉すること)」できる能力を持つことが、真の国際人材として重要であるとのメッセージが印象的でした。
さらに、「短期留学→長期留学→プロフェッショナル留学」という3ステップの戦略を掲げ、学生が「ネゴシエート」する力を培うための大学間の共同プログラムの提案などを通じて国際化を推進していきたいというお話をされました。この数年間の取り組みを通して、異文化への「気付き」を持つことが次のステップへとつながる重要な点であるとのことでした。
実際に多くの学生を海外に送られてきた大六野先生のお話は大変興味深く学びが多く、参加したたくさんの学生からも質問が出ていました。

学生主体の留学支援活動 (創価大学ワールド会)

次に、創価大学の学生有志で構成される「ワールド会」による取り組みをご紹介いただきました。ワールド会は、3ヶ月以上の留学を経験した学生たちが主体となって活動している組織で、留学相談や先輩とのバディ制度、情報発信、学内外でのイベントなどを通じて、留学を目指す後輩たちをサポートしています。
留学経験者との個別相談やマッチングシステムでは、留学を検討している学生にとって自分の求める経験をした先輩たちとつながることができ、非常に有益な情報源となっているそうです。また、バディ制度によるメンタリングは、留学前後のフォローアップを行い留学前の不安や留学後にもつながるアドバイスを受けることができます。
ワールド会の活動は、単に留学を支援するだけでなく、参加者同士が多様な経験をもとに成長できる場を提供することで、これから留学に行く人や留学を志す人をサポートしているとのことでした。

大学の留学の現状(佐賀大学)

佐賀大学からは、2023年度における留学者数の現状と、今後の留学支援プログラムの展開を共有いただきました。
2023年度には197名の学生が留学し、その中で12名が長期の交換留学を経験しました。短期の留学者数はコロナ前の水準に近づきつつありますが、長期の交換留学には就職活動への影響や金銭面の不安が原因で留学者数が増えていない現状です。
その現状を踏まえて佐賀大学では、短期プログラムの充実を目指しています。短期留学を通して学生が留学を経験しやすい環境を提供し、そこから長期の交換留学へとつなげていく戦略を取っています。
提供している短期プログラムでは、現地大学生との交流をプログラム中に行い、課外での学びや生活が見えやすいようにプログラムを設計しています。さらに、協定校と費用を抑える取り決めの制定をはじめ、JASSOや大学独自の奨学金制度を活用することで、学生たちが安心して留学に挑戦できるようなサポート体制が整えられています。

大学間連携の可能性(学生有志)

情報交換会の最後には、SIPS参加学生によるコラボ事例とアイデアが発表されました。
東北大学・中央大学・創価大学など複数の大学の学生が集まり、留学経験や派遣プログラムのノウハウを共有する学生Slackコミュニティを運営しています。コミュニティでは、自己紹介やイベント告知を通じて活発な交流が行われています。一例として、留学者数が少ない地域の留学経験者を他大学の希望者とつなげる取り組みも行っているそうです。
さらに、インスタライブを活用した情報発信や、他大学間のオンライン交流会の実施、学生間の相互サポートを促進する仕組みが生まれているそうです。大学の垣根を超えた学生主体の活動が活発になることに期待しています。

大使館や国際機関からの留学情報提供

最後に、各国大使館や国際機関からの留学に関する情報が提供されました。

オーストラリア大使館

  • オーストラリアの多様な環境が留学・研修に人気

  • オーストラリア大使館商務部が提供するサポート

    • オーストラリア研修の計画立案支援

    • オーストラリア教育機関の提携校探し

  • 公式ウェブサイトおよびSNSで最新情報を発信

  • 留学に関連するリーフレットを配布中

ドイツ学術交流会 (DAAD)

  • YouTube Liveにて奨学金説明会を実施(終了後アーカイブ視聴可能)

  • 夏季ドイツ語コースや修士留学奨学金の情報提供

  • 現在、ドイツの学生をインターンとして受け入れる大学を募集中(締め切り: 9月30日

  • その他、ドイツ留学全般に関する情報提供

    DAAD公式サイト:https://www.daad.jp/ja/

キャンパスフランス(Campus France)

  • 東京と京都にオフィスを構えるフランス政府の留学支援機関

  • フランスの高等教育機関への留学支援

  • 2025年9月入学を目指す方向け説明会を開催

  • 短期留学プログラムも紹介中(大学を通じての応募が必要)

  • 資料はデジタルと紙の両方で提供可能

  • 公式SNSでも最新情報を発信中

    Campus France 公式サイト:https://www.japon.campusfrance.org/ja

国連ボランティア計画 (UNV)

  • 国際ボランティアの派遣とボランティア活動の推進を通して平和構築を支援

  • ユースボランティアプログラムを実施中

    • 開発途上国の国際機関に半年から1年派遣

  • 4つの大学と提携、今後も大学との連携を強化

    UNV公式サイト:https://unv.or.jp/ 

日本学生支援機構(JASSO)

  • 9月より大学院学位取得型の奨学金プログラムの募集開始(修士・博士課程を目指す方向け)

  • 修士または博士号取得を海外大学で目指す方に向けた奨学金制度

    JASSO公式サイト:https://www.jasso.go.jp/

まとめ

会の後半では、留学プログラムについて、留学への関心喚起についてなど、複数の関心テーマに分かれて意見交換がなされました。
 
今回のSIPS情報交換会を通じて、日本の大学における国際化の現状や、留学支援の取り組みを相互に共有することができました。多くの大学が短期留学プログラムの充実化や奨学金制度の強化を進めており、学生たちはこれを活用してグローバルな視野を広げる機会を得ています。異文化との出会いがもたらす気付きや成長の重要性を再認識するとともに、今後の留学促進に向けた動きに期待が高まっています。
SIPSの情報交換会も複数回実施してきた中で参加校のみなさまと直接お会いできる予定がオンライン開催となってしまったことは残念でしたが、全体での情報共有から各ブレイクアウトルームでの交流会まで活発に意見交換が起こっていました。大学の垣根も教員と学生の垣根も超えて留学促進を目指した議論が活発に行われるコミュニティになってきたことを嬉しく思います。
今後もSIPSの情報交換会を実施していきます。また皆様にお会いできるのを楽しみにしています。




※SIPSは毎年、新規に参加を希望する大学を募集しています。
留学促進にご関心のある大学教職員の方は、こちらのページ(https://tobitate-mext.jasso.go.jp/news/detail.html?id=407)をご覧の上、ご不明の点はお気軽にSIPS事務局<sips■mext.go.jp>までお問合せください。
※ ■は@に変えてください。
 
学生との協働のもと、留学促進に取り組む大学のみなさま、同じ志を持つ全国の大学とこれからも経験と学びを共有していきましょう。
SIPSへのご参加をお待ちしております!