ボストン留学→三菱商事に就職 梅津駿輝さんの就活とキャリア
梅津さんについて
就職先 :三菱商事株式会社
併願業界 :製薬会社、バイオベンチャー、投資銀行
出身大学 :東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻
留学先 :アメリカ ノースイースタン大学
留学テーマ:バイオサイエンスの最先端アメリカに研究留学
「修士2年次に日本で就活を行いました。内定を頂いた後、アメリカに3ヶ月間の研究留学をしました。留学で得た学びが今の職場でも生きていると感じています。」
学生時代は研究に集中するため、就活に割いた時間と労力は最低限。
修士1年次の夏から就活を始めました。就活を始めたと言っても手当たり次第に説明会に足を運んでいたわけではなく、あくまでも大学の研究で成果を出すことを最優先にしていたので、自分で各企業のパンフレットをインターネットで見て情報を集めていました。就活中は多くの情報に触れるためつい受動的になってしまいがちですが、自ら情報を集めることで企業や業界への理解が深まると思います。
興味を持っていた業界は、バイオベンチャー、製薬会社、投資銀行、外資コンサル、総合商社です。実際に就職することになる商社という選択肢が出てきたのは、実は結構後の方でした。
就活を始めた当時、興味を抱いていたのは大学で専攻していた分野に近い製薬会社やバイオベンチャー。これらの業界だと研究職として採用される可能性が高かったのですが、自身の適性を鑑みて自分自身は研究者として突き抜けるのは難しいのでは、という思いもありました。また、自己分析を行う中で、将来はバイオサイエンスだけでなく経済学や経営学など幅広い分野で知見を深め、市場の活性化に貢献していきたいと考えるようになりました。総合商社を受けたのは、経営力と専門性を同時に身に付けられるという思いからです。修士2年次の6月に三菱商事から内定を頂き、就活を終えました。
教授にお願いして叶った祈願の研究留学。
バイオサイエンスの研究をしていると、世界で高い評価を得ている論文の多くがアメリカやヨーロッパで執筆さているという現状を目の当たりにします。僕が研究していた分野に関しても、海外でしか使えない技術がありました。自身の研究を海外とのコラボで完成したいという思い、また日本だけでなく世界の研究機関にも目を向けながら研究したいとの思いもあり、留学を志すようになりました。日本では理系院生で留学する人は少ないですが、指導教授に留学への意思を伝えたところ背中を押していただき、ボストンにあるノースイースタン大学への留学が決まりました。
待ち受けていたのは壁の連続。その中で身に付けた忍耐力。
それまで日本人の友人を訪ねて渡米したことはありましたが、留学するのは初めてで、最初は言語面で苦労しました。日常会話はできても専門用語を理解するのは中々難しく、物事が思い通りに進まないこともありました。また、自分が行いたい研究に必要な器具が必ずしも現地の研究室に揃っているとは限らず、器具を揃えるところから始める必要もありました。壁を一つ一つ取り払ってやっと研究ができるという状況からは環境が整っていない中でも成果を上げる忍耐力が身に付いたと思います。
留学して良かったことの一つは、研究だけに集中することができたことです。アメリカの学生の多くが日本の学生以上に勉強に励んでいましたし、大学院生はTAなどの役割が少なく、「研究成果をあげること」だけが求められます。日本では高校生の時は受験を突破するためがむしゃらに勉強しますが、大学に入るとアルバイトや就活に多くの時間と労力を割く必要があり、研究に集中しづらいのかもしれません。
ラボのメンバーとハイキング
ボストン名物のオイスター
リーマンショック以降興味を抱くようになった経済学。
リーマンショックがきっかけで以前から世界経済の動きにも関心を寄せていました。大学院に入ってからも、研究室の教授がバイオサイエンス分野だけでなくビジネス分野でも高い専門性を持っていたこと、研究する中で日本の大学と海外の大学で研究成果に違いがあるのは日本では十分な研究資金が各研究機関に行き渡っていないためだと感じるようになったことが理由で、経済学にも本格的に興味を抱くようになりました。そこでアメリカ留学中には将来のことを見据え、近隣大学に足を運びMBAの見学も行いました。将来はビジネスの力を生かして日本の研究機関を潤して日本を活性化させたいと考えています。
MBA見学のため訪問したコロンビア大学
お手伝いで参加したボストンキャリアフォーラム
卒業後は三菱商事に入社。食品産業グループで財務関連業務を担当。
修士課程を修了した後は三菱商事に入社しました。食品産業グループで財務関連の業務を担当しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてテレワークが始まった時期に入社しました。
これまで培ってきたバイオの知識を活かしながら、ビジネスグロースに寄与し、結果的にバイオ研究市場が潤っていくことに貢献したい。そう思っていたので、配属は希望通りでした。理系だったため数字を扱うのは元々好きですが財務の知識があるわけではなく、毎日勉強しながら働いています。新入社員ですが上司に自分の考えを求められる場面もあり、やりがいを感じています。
留学中に得た変化に対応する力で今後もキャリアを重ねて生きたい。
留学したことで、ベストな環境で物事を進められる機会が実は少ないということを実感しました。置かれた現状の中で変化に対応して自分で道を切り開いていく力は、世界各地で勤務する可能性がある会社でも楽しむことができるだろうと思っています。今後も留学で得た忍耐力や変化に対応する力を生かして、難しいことに直面した時も言い訳をせず前に進んでいきたいです。
梅津さんの就活タイムライン
こちらが梅津さんの就職タイムラインです。就活中も留学中も研究一筋だったことが分かります。留学に行く前の修士2年生6月には就活を終えています。留学中は内定先企業のお手伝い役としてボストンキャリアフォーラムにも参加したのだとか。
梅津さんからのメッセージ
学生時代にどのようなことでもやりたいと思ったことをやり切った人と、中途半端にした人とではその後の人生に違いが出ると思います。もし留学に行きたいという気持ちがあるのなら、その行きたいという気持ちを大切にして是非一歩を踏み出してみてください。