お子さんの留学、どうでした?~保護者から見た中学生、高校生の体験談~CASE1:ミュージシャンを目指す息子のデンマーク留学 
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お子さんの留学、どうでした?~保護者から見た中学生、高校生の体験談~CASE1:ミュージシャンを目指す息子のデンマーク留学 

トビタテ!留学JAPAN【公式note】
山口次郎さん(熊本県)

食卓から世界を変えたい、環境にやさしい小さな家族農業を増やしたい。南阿蘇の山あいで「じろう畑&まさみの食卓」を営む山口さんファミリーは、そんな思いを胸に、WWOOF(ウーフ)※というシステムを使って、世界中から日本の田舎暮らしを体験に来る人たちを自宅に受入れ、生活を共にしながら、野良仕事で汗を流し、一緒の食事をする生活をしている。持続可能な農業を実践するこの生活を始めるためにファミリーが熊本市からこの地に移住した2009年、7歳だった長男の仁ノ介さんは2020年6月、デンマークのフォルケホイスコーレへの留学を終え、帰国した。

 仁ノ介さんが高校2年次の11か月間過ごした学校、フォルケホイスコーレは、北欧独自の社会教育機関だ。19世紀に哲学者グルントヴィが提唱した「すべての人に教育を」という理念のもとで設立され、デンマークの農村を中心に発達した歴史を持つ。生徒も先生も同じ校内で暮らす全寮制で、入学試験や各科目のテスト、成績等の評価はなく、人間同士の対話を通して、社会が多様な他者との関係で成り立っていることやそこに自分がどう関わっていけるのかを体感しながら、自分の学びたい教科を中心に学び、民主主義を育んでいる。

「デンマークでは、中学卒業時点でどういう進路を希望しているのかによって進学する学校を決めます。例えば、大学進学を考えているのであれば、アカデミックなカリキュラムを持つ高校に行くし、それ以外の専門職に就職を考えているのであれば、フォルケホイスコーレに進む。フォルケホイスコーレはそれぞれに特色があり、哲学や文学、芸術、スポーツなど自分の学びたい分野を選択して学ぶことが可能です。入学に際し、年齢に関係なく、希望すればだれでも入学でき、基本的には17歳半以上の大人のための学校なのですが、その年齢に達していなくても入学できる学校もあり、ミュージシャンになりたい夢を持つ息子は芸術系のユースのためのホイスコーレを選択しました。」(次郎さん)

※WWOOF(ウーフ)とは農業体験と交流のNGOで、World-Wide Opportunities on Organic Farmsの略称。WWOOFは、活動に参加する人=ウーファーが、受入れ先の登録農場で無給で働く労働力を提供する代わりに、農場から「食事と宿泊場所」、「知識や経験」の提供を受けるというボランティアシステムを運営している。1971年のロンドンを発祥に世界に広がり、日本でも1994年から活動が始まった。

仁ノ介さんの留学スタイル:高校留学(トビタテ第5期高校生コースアカデミックロング枠の奨学金を得て留学)
国/都市:デンマークオーフス市
滞在期間:1年間(2019年8月4日~2020年6月28日)
学校:フォルクハイスクール(全校生徒約80人・全寮制)
滞在先:学校寮留学時の学年:高校2年次

―仁ノ介さんが高校生時代に留学に至った経緯を聞かせていただけますか?

2009年に南阿蘇に移住し、農業を始め、WWOOF(ウーフ)を通じて「家族ではない外国人」が家族のように生活し、家での仕事を共にする環境をつくりました。これまでの約10年に受入れをしたウーファーはのべ300人を超えます。その多くはフランス、ドイツ、デンマークをはじめとするヨーロッパの人たちで、年代的には20代後半から30代、期間は2週間程度の人が中心ながら最長8か月一緒に暮らした人もいます。父親の私がウーファーと常に英語で話をする日常の中で育った息子は、英語が自由に使えるようになればコミュニケーションの幅が広がるだろうなという気持ちも持っていたでしょうし、異文化が自然と生活の一部にもなっていました。

本人も家族も「高校は海外の学校に」と意識するようになったのは、学校で進路を問われる中2の頃です。その頃の息子は、音楽で身を立てたいという夢を持っていましたが、具体的な進路には迷っていたと思います。家にはデンマークからのウーファーが滞在していて、その人たちからデンマーク発祥であるフォルケホイスコーレの話を聞くうちに、学校でできる体験を通して自分が将来どんなことをしたいのかを見つけようと集まってくる生徒たちのことや、個性を尊重する教育に強い憧れや希望を抱くようになり、留学が具体化していきました。父親の私も、元々デンマークに興味があり、現地の友達も多いので、芸術系が強く、社会や人生を学ぶことのできるフォルケホイスコーレに息子を通わせたいなという思いもありました。

―留学にむけてどんな準備を?

まずは、留学を見据えて進学する高校を決めました。私たちが住む人口5,000人の町には、高校が1校しかないのですが、地元の子たちは都会の熊本市内の学校に出たがる傾向があって、あまりそこには進学しないんです。でも、うちの場合は、高2での留学を既に考えていたので、通学に時間がかかる環境をつくるよりも近くの学校のほうが時間を有効に使えるのではと、あえて地元の学校を選びました。

入学後には、先生に留学を検討していることも伝え、生徒数が少なく、ひとりひとりに目が届く環境でもあったので必要な対応をしっかりとしてもらえました。具体的な留学準備は高1の夏ぐらいから。業者を通さず、学校選びから入学許可の取得、ビザの申請等、必要な手続きをネットで調べながら、費用をかけずにやる方法を考えながらひとつひとつ自分たちで進めていきました。デンマークは大概のことは英語でコミュニケーションを取れるので、親が英語にある程度堪能であれば、自分たちで十分準備はできると思います。

デンマークのことや学校システムについては、詳しい知り合いに聞いたり、現地の友人たちに相談したりして情報を集めました。現地の学校とも直接メールを送り、諸々の相談をするなかで、関係者の応対がとてもよく、息子を預ける上で信頼のおける学校だなと安心感も持てました。一番大変だったのは、ビザ取得のための書類集め。未成年の渡航の場合、保護者の同意が必要で、それを証明するために外務省に申請するアポスティーユの取得にだいぶ苦労しました。トビタテの奨学金に応募したときにはすでに入学許可がおり、入学金も支払い済みでした。

―留学に出す上で、心配したこと、不安に感じたことがあれば教えてください

心配や不安はまったくなかったんです、本当に。デンマークは自分自身も行ったことがある国ですし、家に滞在したデンマークのウーファーたちは、国民性なのか、どの人もみなこちらの話を誠実に受け止め、それに応えてくれていたので、「デンマークの人は信頼できる人たち」という良い印象を持っていました。息子が滞在中、何かあったときには相談をし、親である私たちの代わりに動いてもらえるだろうという安心感が持てるのもデンマークが留学先として魅力的でした。

―これからわが子を留学に送り出すことを検討している保護者の方々が大きな不安や心配をしないために必要なことはどんなことでしょうか?

学校の担当者とメールで直接連絡を取れることがよかったです。メールの返信も早く、そういう小さなことが安心に繋がったと思っています。

―留学中は息子さんとどんなコミュニケーションをとっていましたか?

それほど頻繁ではないですが、LINEのビデオチャットで話していました。あとは、学校が公式SNSやYouTubeに日々の様子を頻繁に情報公開していて、そこに息子はよく映っていましたので、日本にいる家族も息子の留学生活の様子を見守ることができました。

―留学を経験して息子さんにどんな変化がありましたか?

元々、息子は生徒会長をしたり、人の前で話をしたり、いろいろと行動を起こすタイプでしたが、帰国後はさらにその積極性や行動力が強化され、より何でも自信を持って自分でやれるようになっていました。英語力もすごく伸びています。留学中に壁にぶつかって親に相談・・みたいなこともなく、反対に、毎週、その週に一番輝いていた生徒を学校が表彰する制度があって、留学生活が始まった週にまずこの表彰を受け、1年間終わった時には年間の最優秀賞にも選ばれ、ひとりだけしかもらえない賞品(学校の人たちのサインが入ったTシャツ)をもらって帰ってきました。自分自身に大きな自信をつけた、そこに息子の大きな成長を感じています。

―高校時代にわが子を留学に出したいと考えた理由はどんなことだったのでしょうか?

私は1970年生まれで、海外の人と関わりを持つようになったのは23歳くらいからでした。一緒にアパートをシェアして共同生活したんです。それ以前は、外国人との繋がりは特になかったし、よく解らなかった。でも、一緒に暮らしてみたら、交友関係も変わり、視野もすごく広がって、こういう経験はもっと早くできた方がその後の人生にいいんじゃないかと思ったんです。子どもにももちろんそれぞれに個性や趣向があるので、誰にでもというわけではありませんが、うちの息子の場合は、まさにそういう経験をできるだけ早くし、自立できたほうが、高校の後は大学という選択肢だけでなく、もっと違う道を考えられる可能性が広がるだろうという思いもありました。

学校の先生や周りのひとたちからは、高校生での留学はまだ早いんじゃないか、大学生になってからのほうがいいんじゃないの?ともいわれましたが、やはり進路の柔軟性は高校生のほうが高いし、本人の様子をみていて、彼にはそういう経験をするための準備はできているから大丈夫だと思っていました。

―「留学に出しても大丈夫」と思える根拠となった息子さんの強みを聞かせてください

彼は小学校低学年から留学直前まで学校以外のコミュニティ(ミュージカル)にも参加していて、いろいろな年代の人たちとの関わりを持ち、誰に対しても非常に社交的かつ積極的で、それは異文化の生活で大きな強みになると思っていました。

―高校生で留学させて良かったなと思うのは?

帰国後、世界中の友達からSNSで「いまどうしてる?」と連絡がきていて、すごく楽しそうなのが、親としてなによりもうれしいですね。留学させてよかったなと思う瞬間です。「ミュージシャンになりたい」という夢もますます強くなったようで、音楽で身を立てるために今度はドイツの大学で音楽を専門的に学びたいそうです。それから、高校生は吸収力がすごく高いので、語学力の伸びには驚きました。留学を検討する上で、親は子どもの語学力が心配しがちですが、言葉についてはそれほど心配しなくても、コミュニケーション力の高さや、息子にとっては音楽であったように、言葉を越えた特技や趣味をひとつ持っておくことで、その心配は十分乗り越えられると思います。

―息子さんが留学を経験して、家族の関係や他の家族に何か変化がありましたか?

現在は通信環境が良いので、離れた場所で暮らしていても、いつでもお互いの様子は判るし、Line等の無料のビデオチャットで普通に話せるので、実際の距離があっても、いままでの家族関係が大きく違うような感じはあまりしていませんでした。だから、基本的には、家族に大きな変化はなかったかもしれません。それでも、帰ってきた息子は少し大人になったなと感じています。日本にいたら、子どもは「責任を全うする」経験はなかなかできないと思いますが、自分で選んだ留学を成し遂げるという大きな責任を全うしたことで自信をつけた。やりたいというだけでなく、結果はどうであれ、行動に移すということも繰り返しているのをみていると、ああ、成長したな、留学にだしてよかったなと思っています。下のきょうだいたちに対しても、一緒に遊んだり、サッカーの練習相手になってあげたりといままで以上に面倒見がよくなりました。

―最後に、息子さんの今後について思うことを聞かせてください。

帰国後、YouTubeチャンネルを開設して、フォロワー1000人超えを目指して、留学中の体験や自分の音楽について発信を始めています。これからも世界を拡げ、夢や希望が実現していけばいいなと願っています。

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