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人事インタビューVol.3 富士通さま(前編)


文部科学省が官民協働で日本の若者の留学を応援し、グローバル時代に活躍できる人材を育成する「トビタテ!留学JAPAN」。
トビタテを御支援いただいている企業の人事の皆さまに、これから求められる人材像について、大学生がインタビューするシリーズ企画です。


ITサービス国内1位、富士通が大切にする「キャリアオーナーシップ」とは

日本のITサービスを支えてきた富士通、ITサービス業界では長年、国内1位に君臨し続ける(2022年7月現在)。私たち消費者にとっても身近であり多岐にわたるビジネスを展開する富士通。そんな日本の大黒柱とも言える富士通の人材への考え方、同社の定義する「キャリアオーナーシップ」について、同社キャリアオーナーシップ支援部 部長 伊藤正幸さん、人材採用センター シニアマネージャー 末松佳子さんにお話を伺いました。

お話をお伺いした方
富士通株式会社
キャリアオーナーシップ支援部 部長 伊藤正幸さん
人材採用センター シニアマネージャー 末松佳子さん

インタビュアー
トビタテ!留学JAPAN事務局 広報インターン 今田恭太/難波沙和(慶應義塾大学)

富士通の事業内容について教えてください。

伊藤:一般的に、当社に対してパソコンやスマホというイメージがあると思います。でも実は、今では我々は、お客様と一緒に、お客様の課題を解決するようなシステムを開発していくといった「サービスビジネス」と呼ばれるところにシフトしていて、現在、収益の7割程はこの部門が占めています。基本的には、今は、AIやデータ分析、5Gといった先進技術を駆使しながら、システム開発によって、社会を良くしていくという取り組みが主です。

末松:数字的には、ICTサービス市場が国内では、ナンバーワンの売上げ。収益は、日本が8割です。人数的には、グループ会社364社があり、グローバルで世界100カ国に拠点があって、12万6000人の従業員がいます。

伊藤:我々の強みは色々な分野のお客様を持っていることであると考えています。例えば金融、製造業であるとか、流通業と連携すること。業種間のサービスをどう作っていくか、繋げていくことができるかということを考えられることは我々富士通の強みなのかなと思っています。 世界を持続可能にするためには、金融だけの課題を解決しても、絶対良くならないですよね。業種を超えて連携していくというところが大事だと考えています。

企業理念、そして富士通の設定する「パーパス」について教えてください。

伊藤:私たち富士通は「イノベーションによって、社会に信頼をもたらし、世界を持続可能にする」というパーパスを掲げています。これは、現社長の時田が就任後に「富士通はIT企業からDX企業に変わる」という意志を持って定めました。狙いとしては、ITを実現する企業ではなくて、デジタルを活用して、いかにお客様の課題を解決していくかというところに、しっかりとフォーカスしていこうという強い思いを込めています。
 
自分たちが提供できるもの、やれるものを行うのではなく、お客様もどう解決していいかわからないような課題に一緒に向き合ってやっていく。そのためには、我々自身が、今目に見えている課題だけではなくて、将来の課題も踏まえて認識していかなければいけない。そんな企業を目指したいというメッセージを最初に打ち出しました。

その後に設定したパーパス、これこそが富士通の存在意義なんです。「富士通ってどんな会社なの?」って聞かれたら、そこに私たちのパーパス「社会に信頼をもたらして、持続可能にするということを目指していく企業」と答えられるものです。

カーボンニュートラルや SDGs、そういった世界の共通課題というものをしっかり見据えた時に、何ができるんだろうかと考えて解決することによって、世の中も良くなるし、お客様も良くなるし、 地球全体が良くなると私たちは考えています。富士通が課題解決できれば収益にも繋がりますよね。

営利企業である私たちは、利益を追求するという側面も重要です。この世界を持続可能にして、自分たちも持続可能になっていくことを目指す、と表したのが、この存在意義(パーパス)という形になってますね。 

富士通という会社が未来永劫続いていくためには、世の中の課題をしっかりとらえて、その要請に応じて対応していく必要がある。そのためには社員全員が同じ方向に向いて、自分たちが学び続けることが必要なんです。

お二人にとってこのパーパスはどのようなものでしょうか?

末松:私が入社したのが2006年、パーパスが策定されたのは2020年度なので、パーパス策定前の14年間ほど富士通社員、色々な人と関わり合ってきました。そこから感じることは以前から、このパーパスが1人1人の社員の心の中にあって、行動の基盤になっていたということです。

なので、 2020年に新しく登場したというよりは、社員がずっと思っていたものが、言語化されたという意識が強いです。

私自身も、他社員と接していても、自分のためだけに仕事をしている人って、富士通社内にいないなと思います。 本当にお客様やその先のお客様とか、社会のためにどうしていくことが正しいかを考えて、その行動を良しとするということが根付いています。
そこに影響も受けつつ、自分の中でも、どう社会と、どれくらい大きな規模で良い影響を与えていくかが、 仕事のモチベーションにもなっています。そういった部分でこのパーパスに共感しています。加えて富士通社員が本当にパーパスを体現している中で働けることに、日々モチベーションが上がっています。

富士通におけるキャリアオーナーシップの定義、キャリアオーナーシップ支援部の事業内容について教えてください。

伊藤:キャリアオーナーシップ支援部は4月1日から始動しました。これはキャリアオーナーシップにまつわる役割を持った全ての部署が一体となってできたものです。

この部署ができたきっかけとして、「パーパスを実現するために大事なことは、自分の強みがはっきりしている必要があること」が挙げられます。自分の強みを理解して、自分が何をしたら、このパーパスに貢献できるのかなといったことを理解しながら、「僕はこうやっていこう!その次にこういうことをやっていこう!」と考えていけることが大事だと思っています。

富士通は2020年からジョブ型人事制度を取り入れました。まずは幹部社員から始めたんですけれども、今までは仕事に対して、会社から与えられる要素が強かったところがありました。

そこを自ら考えて、そのポストについていく 。「僕は、こういうキャリアを、このパーパスを実現するため、あるいは自分のパーパスを実現するために、こういうキャリアについていきたい!という風に考えてるから、ここのポストにチャレンジしたいんだ!」という形で、 自分の強みを発揮できるようなやり方、仕組みに変えました。

ただそうは言っても、なかなか自分の強みを考えて、キャリアを発揮できるかって言ったら、そうじゃないですよね。社員全員が、日々キャリアやパーパス、将来について考えているわけではないですから。社内ではまだ将来のキャリアを考えてこなかった人たちの方が多い。どうしても会社から「こうしなさい、ああしなさい」与えられる形で慣れていることもあって、いざ自分のキャリアを考えるといっても難しい人もいます。

キャリアオーナーシップ支援部では、そういった人たちにもしっかりと会社が寄り添っていくという形で考える機会を作ります。また、よりチャレンジをしていきたい人はできることを後押ししてあげたい。その両面が、キャリアオーナーシップ支援部の業務内容です。

大事なのは一人一人の幸せ

我々は常日頃、キャリアオーナーシップのビジョンについて、メンバーとディスカッションしています。そんな中でやはり大事だと思うのは、1人1人のそれぞれの幸せ。決して全員じゃなくて、マスじゃなくて、やっぱり1人1人のそれぞれの幸せです。僕(伊藤)の幸せと末松さんの幸せは、絶対違うと思うし、価値観も考え方も違う。 あと置かれている状況も違うじゃないですか。

もしかしたら、僕は介護が必要な親がいて、大変な時だから、そんなに仕事を頑張れない時かもしれない。でも、逆に仕事を一生懸命やりたいっていうシーンもある。それぞれのシーンがあったりするので、そんな中でより良い生き方とか働き方、やりたいことの実現に向けて必要なのが多様な選択肢の存在だと思っています。
 
よく、会社での仕事への機会として「これか、これどっちか選んでください。」っていうイメージがありますよね。ただ我々は、2択では無く、「こういう道も、別の道も、こんな道も、ありますよ。」と提案した上で、最終的に決めて行動するのは社員自身であることを大切にしています。

また、自分のキャリアに対して意識を高く持っても、 行動できなければいけない。その行動を促すために、例えば、Aっていうポストにチャレンジしたいんだったら、こういう学習を支援してあげます、だったり、ポスティングっていう仕組みもあります、と提案する。キャリアに迷ったら、キャリアの相談にも乗るという形での支援を提案します。

我々の部署では、社員が、自分のキャリアのジャーニーに対して、最高の経験を得られるようにキャリアに対するオーナーシップを高めてもらう手助けをしています。社員に対してキャリアが自分のものであるという意識を高めて、チャレンジしようと思った時に、チャレンジできる仕組みがあったり、成長したいと思った時に、成長する仕組みがあったり、迷った時は、サポートする仕組みもある環境を整えています。

トビタテ今田:なるほど。人事部ではなくキャリアオーナーシップ支援部だからこそ、社員1人1人が自分なりのキャリアを歩んでいくサポートをするっていう部分が印象的でした。私たち学生目線では、企業に入って、特に新卒社員のうちは 与えられた形で働くっていう認識の方が強いイメージがあるんですけれども、ポスティング制度であったり自分がやりたい環境を掴める、さらに、それを会社が支援してくれるっていうの が、「キャリアオーナーシップ支援部」という名前からもそうですし、明確にそれを支援してくださる活動っていうのは、すごく魅力的ですね。

他部署の業務を期間限定で体験できる環境

末松:採用に携わっていても学生が魅力に感じてくださるのはやはり、ポスティング、そしてジョブチャレです。ポスティングは先ほどご説明しましたが、それとは別にジョブチャレといった仕組みを整えています。これは期間限定で、他の部署を経験するっていう社内インターンシップの様な仕組みです、例えば3ヶ月とか半年だけとか。 営業職をちょっと経験したい、それによって、より良いシステムエンジニアになりたいといった経験もできます。ポスティングも含め、去年1年間で富士通内で部署異動を経験した社員が、2000人と実績値も増えています。

トビタテ難波:他部署の業務内容は、体験しないとわからないですよね。システムエンジニアの方とか、大学から専門性を高めて、ずっとエンジニアとして働いているとわからないこととかあると思うので、3ヶ月経験するだけでも、全然変わりますし、システムエンジニアの仕事に戻った時にも活かせることが沢山ありそうですね。

ポスティングシステムについて教えてください。

伊藤:ポスティングの考え方って、単純にポストがあって、そこに人をアサインしていくわけではないんですね。先ほど申し上げた通り、富士通にはパーパスがあるんですが、パーパスって正直言うと、1個人からは遠い存在じゃないですか。

なので、 それぞれの部署でパーパスや、それを実現するためのビジョンや戦略ってのを考える時に、今までだと従来の人材を使って実現しようと考えがちなんですが、それだと今までの延長線上でしかないんです。

戦略を実現するために、空いているポストっていうのは、どうしても出てくるんですよ。今、富士通がチャレンジしようとしていることに対して、今いる人じゃできないから空いてるポストがどうしてもできる。

それに対して、外から人材を取ってくるのか、もしくは中からポスティングで選ぶのか、という考え方のもとに、ビジョンを実現するためのポストを新しく作っていくんですね。これがポスティングという考えです。

外から人材を取ってくるのはもちろんいいんですけど、約12万人の社員がいるのだから中にも戦力になれる人がいるんじゃないのって考え方ができます。そういう人にチャンスを与えていけるのも、ポスティングの魅力だと思います。将来の戦略を実現するために、どういうポストが必要になるのか、どういう人を持ってきたらいいのか、という形で考えていく。そのためにもチャレンジングな仕事を、いかに本部が作っていくのかが大事だと思っています。


インタビュー後編はこちらです。引き続きご覧ください。



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